ロレックスバブルとその後|急騰と急落から学ぶ教訓
「ロレックスバブルは崩壊したんですか?今は売り時じゃない?」——この問いに答えるには、まず何が起きたのかを正確に振り返る必要があります。急騰と急落の記録は、これから売る人への最良の教科書です。
バブルの生成——2020〜2022年に何が起きたか
発端は世界的な金融緩和でした。コロナ禍対応で市場に溢れた資金は株や暗号資産に向かい、その利益と「モノへの逃避」需要が高級時計市場へ流れ込みます。SNSでの時計人気、転売の過熱、そして品薄の構造(なぜ買えないのか)が重なり、人気スポーツモデルの中古価格は2022年春にかけて歴史的な水準まで急騰しました。定価の数倍の実勢が付くモデルが続出し、「時計は最強の資産」という空気が市場を支配した——ここまでが、いわゆるロレックスバブルの生成です。
転換点——2022年春からの急落
熱狂は長く続きませんでした。2022年春をピークに、中古相場は急速な調整に入ります。引き金は世界的な金融引き締め(利上げ)への転換と、それに連動した暗号資産市場の急落——時計に流れ込んでいた投機資金が逆流したのです。プレミアが大きかった人気モデルほど下げ幅も大きく、ピークで買った投機層には痛い教訓となりました。ただし重要なのは、下げても「バブル前の水準」までは戻らなかったこと——投機の泡は弾けましたが、実需と品薄という土台は残ったからです(チャートの読み方)。
その後と現在——「高原状態」という着地
急落後の相場は、数年をかけて「熱狂なき高水準」=高原状態へと落ち着いていきました。投機資金が抜けた一方で、①実需(買えない正規店の代替)、②定価改定の継続(改定のパターン)、③円安による国内価格の下支え——が効き、日本国内の買取相場はバブル崩壊の悲観論が示唆したほどには沈みませんでした。つまり現在の相場は、「バブルの残り火」ではなく実需と構造が支える水準——この見立てが、いま売る・持つを考える際の現在地です(将来を保証するものではありません——実勢は査定時に必ずご確認ください)。
教訓①——「天井で売る」ことは誰にもできませんでした
バブルが残した最大の教訓です。2022年の天井を事前に言い当てた人は、プロを含めほぼいません。天井のシグナルが「見えた」ときには、すでに急落が始まっていました。ここから導かれる実務の結論は、①「もっと上がるはず」で売却を引き延ばすのは、天井当てゲームに参加すること、②高騰局面で「使っていない個体」を持っているなら、目標額を決めて分割・段階的に売るのが凡人の最適解、③急落局面でのパニック売りも同じく損——という三点です(後悔しない売却の設計)。相場は読めなくても、自分の売り方は設計できる——バブルはそれを教えてくれました。
教訓②——「実需のあるモデル」はバブル崩壊に強かった
もう一つの教訓は、モデルによる耐性の差です。投機マネーが集中した一部のプレミアモデルが大きく上下した一方、デイトジャストやオイスターパーペチュアルなど実需に支えられた定番は、値動きが相対的に穏やかでした。つまり、①プレミア系を持つ人は「相場ニュースに敏感に」、②定番系を持つ人は「相場より自分の事情で」——と、持っているモデルによって売り時の考え方を変えてよいのです(リセールの実力差)。あなたの一本がどちらの性格か、それが今いくらか——その答えは型番と写真1枚で分かります。バブルの物語を「他人の教訓」で終わらせず、ご自身の一本の現在地確認につなげてください。
よくある質問
ロレックスバブルは崩壊したのに、なぜ買取価格はまだ高いのですか?
投機の泡は弾けましたが、品薄・実需・定価改定・円安という土台が残ったためです。現在の水準はバブルの残り火ではなく構造に支えられています。
また急騰することはありますか?
将来の相場は誰にも断定できません。金融環境の変化で大きく動き得ることは、バブルの歴史そのものが示しています。
ピーク時に買った個体は損切りすべきですか?
売却は損得だけでなく資金計画と使用状況で決めるものです。まず現在の実勢を確認し、保有継続・分割売却も含めてご検討ください。投資判断は専門家にご相談を。
バブル期の査定額を基準に考えてしまいます。
過去の高値は現在の相場ではありません。当日の実勢と内訳を確認し、「今の物差し」で判断し直すことをおすすめします。