時計はオーバーホールしてから売るべき?
ロレックスやオメガを売る前に「オーバーホール(OH)に出してからの方が高く売れるのでは」と考える方は非常に多いのですが、結論から言うとそのまま売るのが正解です。理由は単純な損得計算にあります。この記事では、なぜ修理してから売ると損になるのか、そして数少ない例外ケースを解説します。
OH費用と査定増分の損得計算
正規サービスでの機械式時計のオーバーホールは、モデルにもよりますが数万円から十数万円かかります。一方、「OH済み」であることによる査定額の上昇は、多くの場合それを下回ります。なぜなら買取店は再販前に自社の提携工房でまとめてメンテナンスを行うため、個人が定価で払うOH費用よりはるかに低いコストで同じ状態を作れるからです。つまりお客様が先にOHへ出すことは、店がやれば安く済む作業を高い費用で肩代わりすることを意味します。
同じ理屈は研磨(ポリッシュ)にも当てはまります。むしろ研磨はケースの角を痩せさせるため、ヴィンテージでは未研磨の個体の方が高く評価されることさえあります。「綺麗にしてから」という気遣いが逆に働く典型例です。
数少ない例外——OH記録が価値になるケース
例外は、すでに最近OHに出していて、その記録(明細書・国際サービス保証書)が手元にある場合です。直近1〜2年以内の正規OH記録は「機械の状態が保証されている」証拠として査定にプラスに働きますので、必ず一緒にお持ちください。これから売るために新たにOHへ出すのと、過去の記録を活かすのは全く別の話です。
動かない・電池切れの時計はどう売る?
クォーツの電池切れは、電池交換すらせずそのままで問題ありません。機械式の不動品も、パーツ・修理再販の市場が確立しているため買取対象です。むしろ動かない時計を町の時計店で修理してから売ると、修理代が査定額を上回る「費用倒れ」がほぼ確実に起きます。手を加えるほど損をする——これが時計売却の大原則です。判断に迷ったら、現状の写真をLINEでお送りください。手を加える前の状態で概算をお答えします。
部品交換の履歴はどう伝えるべきか
過去の修理で風防・リューズ・ブレスコマなどを交換している場合は、分かる範囲で申告していただくのが結局は得策です。買取店は査定時に部品の年代整合を確認するため、無申告の交換部品が見つかると「他にも手が入っているのでは」と保守的な査定に傾きます。逆に、正規サービスでの交換記録があれば純正部品の証明としてプラスに働きます。「昔ベルトを替えた気がするが記憶が曖昧」という程度でも構いません——申告は正直に、作業は加えず、が時計売却の二大原則です。なお、社外部品への交換(アフターダイヤ・社外ベゼル等)は評価が大きく変わる要素のため、事前にLINEで写真をお送りいただくのが確実です。
よくある質問
オーバーホール済みの記録があると、いくらぐらい査定が上がりますか?
モデルと記録の新しさによりますが、直近の正規OH記録は「次のOHまでの期間が長い」ことの証明になるため、確実にプラス評価です。金額は型番により異なるので、記録の写真と一緒にLINEでお送りいただければ概算をお答えします。
ガラス(風防)が割れた時計も、直さずに売っていいのですか?
はい、そのままお持ちください。風防交換も買取店側で行う方が低コストのため、修理してからの持ち込みは費用倒れになります。割れによる文字盤への影響の有無だけ査定で確認します。
ベルトがボロボロです。交換や社外ベルトのままでも大丈夫?
大丈夫です。革ベルトの劣化は消耗として織り込み済みで、社外ベルトでも純正の尾錠(バックル)が残っていればプラス評価になります。純正ブレスレットが別にあれば必ず一緒にお持ちください。
磨きキズを消すためにポリッシュに出すのはどうですか?
おすすめしません。研磨はケースの厚みを削るため、特にヴィンテージや希少モデルでは未研磨の方が高評価になることがあります。小傷は「使用の証」として想定内で査定します。