他店で「偽物」と言われた——それ、本当に偽物ですか?
「偽物なので買い取れません」——そう言われたときのショックは大きいものです。しかし知っていただきたいのは、真贋判定の精度は店によって大きく異なるという事実です。当店には他店で偽物とされたお品物の再鑑定のご相談が定期的にあり、その中には「本物だった」という結論も実際に含まれています。処分する前に、この記事を読んでください。
なぜ判定が店によって分かれるのか
真贋判定には、X線蛍光分析装置などの測定機器、ブランドごとの製造仕様の知識、そして経験による総合判断が必要です。目視と手触りだけで判定する店、貴金属の測定機器を持たない店、特定ブランドの知識が浅い店では、本来「判定保留」とすべきお品物を安全側に倒して「偽物」と言ってしまうことがあります。店にとって偽物と言う方がリスクが低い——この構造が誤判定を生みます。
また「偽物」という言葉が、実際には別の状態を指しているケースもあります。刻印より純度の低い「アトK」、純正品に社外部品が混ざった「部品交換品」、ブランド刻印のない委託製造品など——これらは価値が下がることはあっても、ゼロではありません。
再鑑定の前に確認しておくべきこと
まず、他店で「どの検査に基づいて」偽物と判定されたのかを思い出してください。測定機器を使ったか、目視だけだったか。書面での説明はあったか。そのうえで、お品物には一切手を加えずそのままの状態で再鑑定にお持ちください。分解・研磨・刻印の確認のための削りなどは、真贋の証拠を消してしまうことがあります。購入時の書類・レシート・購入店の情報が残っていれば、判定の重要な補助材料になります。
当店の再鑑定——無料・結論と根拠を明示
エニティ銀座では、X線蛍光分析・比重検査・ブランド仕様との照合を組み合わせ、真贋の結論とその根拠をセットでお伝えします。本物であればそのまま買取のご案内をし、残念ながら偽物だった場合も、どの点で判定したかをご説明してお品物はお返しします。再鑑定に費用は一切かかりません。「偽物と言われたけれど、祖父の代から家にあったもので信じられない」——そんなご相談こそ、お聞かせください。
「保留」という誠実な判定もあります
真贋判定は常に白黒つくものではありません。製造年代が古く資料が限られる個体、ブランドの仕様変更期に製造された個体などでは、誠実な鑑定士ほど「即断せず調査する」判断をします。当店でも、その場で結論を出さずにお預かりせず(お品物はお返しした上で)、仕様の裏取りをしてから後日回答を差し上げるケースがあります。逆に言えば、あらゆる品物を数分で「偽物」と断定する店は、判定の精度よりも仕入れの効率を優先している可能性があります。時間をかけた判定を面倒がらない店を選ぶことが、大切なお品物の価値を守る最後の砦です。
再鑑定で当店が積み上げている「根拠」の中身
セカンドオピニオンの鑑定は、単一の決め手を探す作業ではなく、複数の証拠を積み上げる作業です。貴金属であれば、X線蛍光分析による組成の確認に加えて、刻印の書体・打刻の深さ・打たれている位置が、その時代・その工房の慣行と整合するかを見ます。時計やジュエリーなら、部品同士の整合——ケースとムーブメント、石とその留め方が、同一ブランドの同一年代の仕様として矛盾しないかを確認します。重要なのは、一つの違和感だけで「偽物」と断定しないことです。長年の使用による摩耗や過去の修理は、単体で見れば「仕様と違う」ように映ることがあり、ここが目視中心の判定で結論が割れる典型的な原因になっています。当店は違和感の原因を一つずつ潰し、最後に残った結論と、そこへ至った根拠をセットでお伝えします。
持ち込む前に整理しておきたい「来歴」の情報
お品物そのものに手を加えないことは本文の通りですが、加えて「情報」を整理しておくと判定の精度が上がります。具体的には、いつ頃・どこで・誰が入手したか(相続品なら分かる範囲で)、過去に修理やサイズ直しに出したことがあるか、その際の店名や明細が残っているか——この三点です。たとえば過去のサイズ直しで刻印部分が切り取られていたり、修理で一部が社外部品に置き換わっていたりすると、品物単体では説明のつかない状態に見えます。来歴の一言があるだけで、それを「偽物の特徴」ではなく「修理歴の痕跡」として正しく読み解けるのです。記憶が曖昧でも構いません。分かることをメモ一枚にまとめてお持ちいただくだけで、鑑定は確実に前へ進みます。
ご来店が難しい場合は、LINEでの事前相談から始めていただけます。真贋の最終判定には現物の検査が必要ですが、写真の段階でも「どの検査が必要になりそうか」「再鑑定を受ける価値がありそうか」の見当はお伝えできます。撮っていただきたいのは、全体像・刻印やロゴのアップ・気になる箇所(他店で指摘された部分が分かればその部分)の三枚です。刻印は小さく反射しやすいため、明るい場所で斜めから、ピントが合う距離を探しながら撮ってください。そのうえで宅配での再鑑定をご希望の場合も、査定料・送料・返送料はいただきません。「偽物かもしれないものを送るのは気が引ける」とおっしゃる方が多いのですが、真贋の分からない品物を確かめることこそ専門店の本業です。どうぞ遠慮なくご利用ください。
真贋にまつわるよくある誤解
Q. ギャランティカードや鑑別書があれば、本物と証明できますか?
A. 残念ながら、書類単独では証明になりません。書類そのものが偽造されるケースや、書類と中身が入れ替わっているケースがあるためです。書類は有力な補助材料として扱い、最終判断は現物の検査で行います。
Q. 刻印が薄い・読めないのは偽物のサインですか?
A. いいえ。長年の使用や過去の研磨で刻印が摩耗することはごく普通にあります。刻印が読めない貴金属でも、組成の測定で純度を直接確認できますので、諦める前に一度お持ちください。
Q. 二軒の店で偽物と言われたら、もう確定と考えるべきですか?
A. 同じ目視中心の方法による判定であれば、店の数が増えても検査の中身は増えていません。大切なのは軒数より検査の方法です。測定機器と仕様照合による検査をまだ受けていないなら、再鑑定を受ける意味は十分にあります。
Q. 購入した店に「本物ですか」と確認するのが一番確実では?
A. 販売店への確認も選択肢の一つですが、購入店と利害が重なる場面では、回答の中立性に限界があります。判断材料を増やすという意味でも、その販売に関与していない第三者による検査を挟む価値はあります。
よくある質問
他店で偽物と言われたことは、査定前に伝えるべきですか?
どちらでも構いませんが、お伝えいただければ「どの点が疑われたのか」を意識した検査ができ、より丁寧な説明が可能になります。伝えたことで査定が不利になることはありません。
再鑑定で本物と分かったら、その場で売れますか?
はい。真贋確認と査定は同時に行いますので、金額にご納得いただければそのままご成約いただけます。もちろん、確認だけして持ち帰る選択も自由です。
フリマアプリで買った品が偽物と言われました。どうすべきですか?
まず再鑑定で事実を確定させてください。本当に偽物だった場合は、取引プラットフォームの補償制度や消費生活センターへの相談が選択肢になります。偽物の売買は法に触れるため、転売は絶対に避けてください。
偽物だった場合、その場で処分してもらえますか?
当店では偽造品の廃棄代行は行っておらず、お返しするのが原則です。ブランド権利者への対応が必要なケースでは、適切な相談先をご案内します。